第4回「古民家見学ツアー(お屋敷巡り編)」の報告
2018年4月28日(土)10:00~15:00
多可町加美区清水・「春浄院」~加美区岩座神~西脇市和田町「村上邸」
これまでは多可町内の魅力的な古民家を巡るツアーを開催しておりましたが、第4回目の今回は初めてお隣の西脇市にまで足を伸ばすコースを設定させていただきました。毎回たくさんの古民家好きの方が集まって下さるのですが、今回は新緑が美しい最高の天候に恵まれたことと、「お屋敷巡り」という表題のおかげで30名以上の方が集まってくださいました。
10時に多可町の加美地域局に集合して、複数のワンボックスカーなどに乗り合わせで、まずは清水の「春浄院」を見学に行きました。このお屋敷は宗教法人が所有している物件ですが、元々は地元の林業で財を成した方が所有しておられた建物とのことです。現在は空き家になっていて、7千万円で町の空き家バンクに掲載されて注目を集めています。敷地面積が801坪、建坪が母屋のみで161坪というもの凄い豪邸ですが、空き家を管理しておられる不動産屋によって、とてもきれいに維持管理されている物件です。敷地の周りは塀に囲われていますので、普段は中の様子を見ることはできないのですが、この日は特別にこのツアーのために開放してくださり、皆で見学をさせていただきました。
建物の中は、古い建具や細工の部分がうまく残されていて、巨大な火鉢や時計、太い梁や大黒柱など、建物そのものがまったく傷んでいない状態で残されています。また、電灯や建具に使われている鍵、襖絵、おくどさんなど、室内にあるすべてのものが全体の雰囲気を構成する重要なパーツになっていて、部屋のあちこちで「すごい~」「かわいい~」「素敵!」という言葉が飛び交っていました。
管理しておられる不動産屋の方も、播州地域でこれほど豪華できれいな状態で残されている物件は他に知らないと言っておられました。
ずっとその場所にいたい気分でしたが、1時間半ほどでその場を後にして、昼食を食べる岩座神の棚田に移動しました。この棚田は日本の棚田100選にも選ばれている棚田で、多可町の中でも特に美しい集落として知られている場所です。
3月に紡の主催で開催させていただいた「岩座神・古民家再生プロジェクト」で大掃除をさせていただいた古民家のオーナーさんも参加してくださり、皆さんと一緒に1年半ほど後にカフェ&宿泊施設になる予定の古民家の前で昼食を食べました。今は、暑くもなく寒くもないちょうど良い気候ですので、美しい棚田からの景色を堪能しておられました。
その後、西脇市和田町の村上邸に移動しましたが、普段、車で移動することが多い地域ですので、何度も通っている場所にも関わらず、車から降りてゆっくり散策するということがない場所です。歩いてよく見てみると、立派な建物や播州織工場として使われていたのこぎり屋根、水路などもあって、新しい発見もありました。
村上邸は、播州織関係企業の経営者が建てたお屋敷とのことですが、先代から受け継いだものの、この建物の改修作業ではバリアフリー化が不可能とのことなので隣の敷地に新たな家を建て、こちらのお屋敷は空き家になっています。旅館のエントランスのような立派な玄関から中に入ると、天井や床の板の組み方などが独特の模様で、細かい部分にまで職人のこだわりが見え隠れする建物であることが伝わってきます。
ちょうど良い感じの中庭があって、建具もすべて木のままで残されており(風が通るように夏用の建具と入れ替えられるようになっていました)、床や梁などにも歪みがなくてスムーズに動かせる状態で残されてあります。昔の大工の高い技術とこだわりがあったからこそ、このようなかたちで現在まで受け継がれていたのでしょう。「春浄院」とはまた違った様式の日本家屋の姿ですが、いずれの物件もその地域の風景を形成する美しい佇まいをしており、時間が経過してもずっと使い続けることができる機能性を兼ね備えています。
こうしたツアーを通して、少しでも多くの皆さまに地域が受け継いできた古い建物の魅力を知って頂き、何かのご縁があればその建物を活用したい!という新たな出会いのきっかけが生まれればとても嬉しく思います。
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